「JAWS FESTA 2025 in 金沢」を振り返る - 準備や参加レポート
2025年10月11日に金沢・近江町市場の ITビジネスプラザ武蔵、近江町交流プラザの2会場で開催された JAWS FESTA 2025 in 金沢に参加した際のレポートとなります。
今回、実行委員としての活動と登壇者としての内容の両面を含みますが、実行委員をしていたこともありセッションはほぼ見られていないのでセッションの内容は薄めです。

神戸の FESTA 候補地立候補の見送りと実行委員への立候補
現在、神戸で暮らしているのでなんとなくそのイメージが強いかもしれませんが、実は金沢出身です。
とはいえ、父親の転勤で小学校 2 年時から大学進学で神戸に行くまで新潟の柏崎に転校しており金沢で卒業した学校もないため友人もいないのですが、実家はあり今でも大切な故郷です。
昨年 2024 年にリブートした JAWS-UG 神戸 の運営メンバーの一人でもある私ですが、2025年開催分(つまり今年)の JAWS FESTA の立候補はメンバーの総意で見送ることにしました。
2025年 は阪神淡路大震災から 30 年の節目でもあり、なんらかできたらいいなと思っていたのですが、震災に見舞われてさらに豪雨災害もあって泣く泣く候補地から辞退した金沢の再挑戦を見守ろうかな?という感じで見送る判断を神戸のみんなで合意した記憶があります。
ただ、前述の通り金沢出身者でもあるので実行委員としては関与させてもらおうと思っており、実行委員長であるふぁらお加藤さんにお声かけし、混ぜていただくことができました。
今回はサポーター管理を担当しています。(ただ、振り返るとあまり何もしてない気がする)
顔合わせや打ち合わせの実施
全国の支部から有志が集まって実行委員会が構成されるので、打ち合わせの基本は Web 会議です。
JAWS-UG の Slack ワークスペースは無料プランの利用なので、90 日以前のやりとりが見えなくなっておりすでに最初の頃がわからなくなってしまっています。
ただ、オープンにできる部分はオープンにしていこうというふぁらおさんの意向で connpass で打ち合わせ日を設定していました。
JAWS-UG 金沢支部の connpass を拝見すると JAWS-UG 金沢 #102 FESTA実行委員会準備会 として公開されている 2025年02月10日(月) あたりが最初だったようです。(その前にも connpass 管理じゃなかった回があった気がするので、2025年02月10日 が初回、というわけではないような記憶をしています。)
インフラ担当ではないので調達の順序を問わず書きますが、以下を用意して以降準備が進められました。
- Google Workspace のプロジェクトディレクトリ
- Slack 各種チャンネル
- Doorkeeper
- Backlog
課題感
個人的に感じた課題としては情報が分散されてしまった感があったなと思っています。
仕事ではない有志の集まりである実行委員なので対応する時間帯がバラバラでメンションが流れてしまったり、全体的なスケジュール感の把握が難しかった気がします。
そのため「最低限ここをみておけば大丈夫」という情報の集約ができると良いのではないかと感じました。
また、サラッと流したのですが、JAWS-UG の Slack は無料版のため、過去のやりとりが全て閲覧できなくなっている問題があります。
そのため過去の FESTA の時にどのように対応したのか、といった観点が引き継ぎされていないとわからず、かつ、実行委員に必ずしもいつも同じ人が入っていない可能性もあり、ナレッジの蓄積や伝承が課題だと感じました。
そのため毎回車輪の再発明が繰り返されている可能性があるだろうと想像する反面、開催地域やコンセプトが毎回異なる点から、都度ワンオフで作るのもありだという思いもあります。このへんは悩ましいところなのかもしれません。
サポーター担当としての仕事
冒頭書いた通り結局ふぁらおさんにおんぶに抱っこだった感覚もあり、ものすごく何かをしたわけでもないのですが、以下のようなお手伝いをしました。
- Doorkeeper イベントページ作成
- サポーター情報収集・整理(企業、個人とも)
- Google フォーム作成
- 送付文面の草案作成
- 企業サポーター抽選システムの作成(とはいえ作成はほぼ Amazon Q Developer for CLI)
- 抽選システム作成の過程は note に書いています
課題感
個人的に感じた課題としてはやはり連絡手段として根強く残る「電子メール」です。
今回 Rubyist でもあるふぁらおさんが実行委員長だったので、ruby のエコシステムや文化が多く取り入れられています。
サポーター管理の sponsor-app や、CfP 受付とその管理システムである cfp-app などがそうなのですが、それらのシステムからのメール配信はできるものの、返答いただくメールを閲覧することの考慮は別で必要である問題が悩ましいと感じました。
JAWS-UG として保有するドメインとそれを用いたメールアドレスでの送受信は可能でした。 ただ、メールボックスの閲覧のために認証情報を共有しなければならずその公開範囲の決定と管理が難しいと思います。 また、メールクライアントに受信設定を入れないと新規メールに気づきにくい点もあり、誰がメールを受信できるべきか、返答すべきかを決めないと連絡のやりとりが難しい点に課題を感じました。
現に今回私はメールボックスの認証情報までは持っていなかったので、システムからの配信はできても、個別に返答があっても気づきにくい問題がありました。さらにそれに対する返信は結局ふぁらおさんにお任せせざるを得ない状況だったので、サポーター管理としてすべてのタスクを実行できていなかったのではないかという思いはあります。
前日準備
前日準備の様子は note に書いています。
登壇、の前に CfP 管理
先に書いた通り、CfP も ruby のエコシステムである cfp-app を用いて管理されていました。
このシステムはかゆいところに手が届く OSS で、CfP 応募者である私が実行委員を兼ねていても、実行委員としてレビュアーに回った時に、私の応募情報が見えないようになっていました。
自身の応募に対して不正ができない上に、自分の応募に対して高評価が得られていない現実を見ることもないのでフラットな気持ちで応募内容の審査を行うことができました。
例えばプロフィールのアイコンとして Social のアイコンの URL の入力ではなく GitHub や Gravatar からの取得など、ふぁらおさん曰く ruby 文化に特化している側面もあると伺いましたが、良いツールだったと思います。
登壇
応募した AIトラック は予想通り応募者が最も多く、突破するのは難しいかと思っていましたが、運良く採択いただけました。 リセラー企業のテクサポ担当が考える、生成 AI 時代のトラブルシュート 2025 と題してお話ししましたが、手元のタイマーでは 1分30秒 ほどオーバーランとなりました。
ただ、多くの方にご覧いただけて、まさしく同じ悩みを抱えていらっしゃった方と会話できたり、カスタムエージェント知らなかった、といったご反応をいただけました。
反省点としてはオーバーランしたことですね。やはり自宅で練習している時点で 20 分を超えるものは本番では絶対に収まりませんね。
その他セッション
実行委員として近江町交流プラザ側の Track E の部屋の管理をしていたのもあり、ほとんど見られていないのであまり書けません。
ただ、震災当時副知事を務めておられた西垣さんのお話や、その後の相羽さんがセッションマスターを務められたクロストークでは当時の現状や課題、その中でエンジニアができることについてを拝聴しました。
一般社団法人 耐災害デジタルコーディネーションセンターの杉井さんが以下の通りスライドを公開してくださっています。今回の JAWS FESTA を金沢で開催する際のテーマに深くつながる話なので、当日ご覧になれなかったかたはぜひご覧ください。
個人的な気づきとしては以下です。
- 災害救助法が適用されると、より強力な支援(県や国)が入って体制が盤石になるように思っていたが、事務的な実業務を担っていない県側が救助の実施主体になること
- 避難所や避難者の情報を特定するための情報が当時なかったこと
- 特に自主避難所は存在を知り得ないので支援の対象から漏れてしまう懸念が出ること
- 自主避難所や孤立集落の特定にはスマホで撮影した画像データが役に立ったこと(緯度経度情報を持っており撮影日時の情報も併せ持っている)
- この観点がエンジニアの何気ない発言からがきっかけであったこと
- 水道やガス、電気などの各事業者が付与している ID と自治体の住所情報が一元化されておらず、特定に利用しにくい課題は残っていること
招待講演:能登半島地震で見えた災害対応の課題と組織変革の重要性
キーノート:能登半島災害現場エンジニアクロストーク
お祭りトラック
お祭りトラックは Track1 と Track2 が用意されていました。 恒例になりつつある「純喫茶 鮫」を軸とした部屋とマルチメディアスタジオを使った企画の二本立てでした。
その中の「生成AI着せ替え体験 2025北陸編」は、最初期のプロトタイプに近しいものを JAWS-UG 神戸に来てくれた泉さんから拝見していたので、ここだけは絶対行っておこうと思っていました。
写真を撮ってもらうとこんな感じに変換される仕組み
初音ミクのフルグラフィックパーカーで撹乱させるつもりだったのですが、見事に貫通し、艶やかな着物姿になりました。

懇親会
費用はまあまあ大きかったものの、金沢で由緒あるホテルの大宴会場「トップオブカナザワ」での開催だったのでまあ納得。
そして、金沢の郷土料理や B 級グルメ(といっても金沢カレー)も振る舞われていたのも良かったし、能登の地酒の試飲もできるようにしていたのも金沢開催ならではと思います。
オフィシャル二次会
おそらく JAWS 界隈ではあまり例がないと思いますが、地元企業でもある 株式会社 エイブルコンピュータ さんが二次会をスポンサードしてもらうサポーター枠を担当くださり、懇親の場を提供してくれました。
翌日:大人の遠足
地元にお住まいの実行委員で能登観光、金沢市内の観光の2つのプランを用意してくれました。
私はせっかくなので能登の現状を見てみようと思い能登日帰りプランに参加しました。
大まかな旅程
| # | 概要 |
|---|---|
| 1 | 金沢駅集合〜バスで和倉温泉駅へ |
| 2 | 和倉温泉駅からのと鉄道「震災語り部観光列車」で穴水駅へ |
| 3 | 穴水駅からバスで珠洲の道の駅「すずなり館」へ |
| 4 | すずなり館からバスで珠洲「見附の社」へ |
| 5 | 珠洲からバスで「千里浜なぎさドライブウェイ」を経由し金沢駅へ |
「能登福幸丼(のとふっこうどん)」
後ろ姿は「えんむすびーち」でひとり縁結ばれるジャニさん
実はこの時、みんなで集合写真を撮っていたようでした。
なんで私が写っていないんだろう?と思ったら、バスの中で Abuse 対応をしていたからだったようです。
遠足ー!
— Naomi@結構暑いねー (@nao_spon) October 12, 2025
#jawsfesta2025 #jawsug #能登 pic.twitter.com/OmItGOex6W
まとめ
最後の方がただの旅行記のようになりましたが、震災語り部観光列車で伺った話や車窓から見えた風景は、他の震災を想起される方・辛い方もいらっしゃるかと思ったので省いています。
ただ、イベント本編のキーノートで伺った前副知事の西垣さんのお話の解像度が上がる良い旅行だったと思います。
道中も被災した道路を通るので乗り心地が良くなく「移動」としては難ありでしたが、それも込みで能登現状がわかる、今回の開催テーマに沿った体験ができました。
JAWS FESTA 2025 としての振り返りはどこかでやるかな?と思うので、私個人としての感想などを書き連ねましたが、大学などの大きめの教育機関での開催が続いた中、2会場での分散開催は良いチャレンジだったかと思いました。
やってみた中でもちろん課題や意見もあるとは思いますが、大きな会場が見繕えない地域での開催のあり方として良かったと個人的に思いました。